「求職者支援資金融資制度」は、国が実施している職業訓練受講給付金を受給できる予定の方を対象とした、国による融資の制度です。
職業訓練受講給付金というのは、ハローワークが紹介する職業訓練を休みなく出席することで、その訓練の手当として毎月10万円が支給されるものです。
月額10万円の支給では生活が困窮するという方に向け、お金を借りる方法として用意されているのが求職者支援資金融資制度です。
目次
融資の概要について
申し込みの対象者について
求職者支援資金融資制度では、次の2つの条件を満たしている方について貸付を行ってます。
1.職業訓練受講給付金がもらえることに決まった方
この融資制度は、職業訓練受講給付金における「特定求職者」に該当し「給付金を受ける要件」を満たしている方だけが対象です。
訓練の2ヶ月目以降の支給・不支給が決まっていなくても、初月の支給が決定すれば求職者支援資金融資制度の対象となります。
2.ハローワークで「求職者支援資金融資要件確認書」という書類をもらった方
この確認書をもらうためには、ハローワークによって、希望者のお金を借りたいと希望する「理由」が適当と認められ、「返済の意思」があると認められることが条件となります。
また、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」における暴力団員(暴力団の構成員)は、動機が適当で返済の意思があってもお金を借りることはできません。
お金の使いみちの制限
融資を受けたお金の使いみちは、職業訓練を受講している期間の生活費に制限されてます。資金使途の調査などはありませんが、ギャンブルなどの浪費に充ててしまうは避けるようにしましょう。
融資の上限額と金利について
制度上の融資の上限額は、単身者の方は「月額5万円」、結婚をしていたり同居の子どもと生計を一にしている場合は「月額10万円」までとなります。
ただし、ハローワークで発行される「求職者支援資金融資要件確認書」に記載されている金額を超えることはできません。
また、求職者支援資金融資制度における金利は、日本労働者信用基金協会による保証料を含めて年率3.00%の固定金利となります。
申込みから融資を受けるまでの流れ
融資制度の申込手続きは、最初にハローワークに希望を伝えて、融資の制度について説明を受けます。
その後、融資が相当と認められると要件確認書が発行されますので、それを持参してろうきんの窓口で申し込みの手続きを行います。
申込みが完了したら、融資の審査が開始され、審査終了後にろうきんの普通預金口座にお金が振り込まれます。
求職者支援資金融資制度のデメリットについて
融資に審査がある!
求職者の支援を目的とした融資制度ですが、ろうきんで融資の審査が行われます。
過去に債務整理をしていたり延滞の記録が信用情報機関に多く残っていると、審査に落ちてしまうことがあります。
審査にとおらなかった場合は、経済状況により職業訓練の受講もできなくなることがあります。
求職者支援資金融資要件確認書がもらえないことがある!
ハローワークで発行される要件確認書は、申し込めばもらえるものではありません。
ハローワークの担当者に借入れの適切な動機と返済意思があることが認めてもらえないと、融資に必要な書類をそろえることができなくなります。
ろうきんの普通預金口座が必要!
ろうきんに普通預金口座がない場合は、普通預金口座の開設も同時にすることになります。
求職者支援資金融資制度でお金を借りたときの返済シミュレーション
求職者支援資金融資制度を利用した場合の金利(利息)の計算をして、負担の大きさを確認してみます。融資を受ける期間は、制度上の上限(12ヶ月)を前提にします。
毎月5万円お金を借りた場合
毎月5万円のお金を借りる場合は、12ヶ月で合計60万円となります。
計算を簡単にするため、一括で60万円を借り入れて返済期間の上限(5年間)で返済した場合を確認します。
実際に返済シミュレーションで計算してみると、毎月の返済額は10,781円で返済の総額が646,842円(利息は46,842円)となります。
毎月10万円お金を借りた場合
毎月10万円を借入れしたときの返済期間は、上限が10年までになります。
12ヶ月分の借入れ合計120万円の返済をシミュレーションで確認すると、毎月の返済額は11,587円で返済総額が1,390,411円(利息は190,411円)となります。
実際は、毎月5万円(10万円)ずつ借入れするので、上の計算結果よりは負担が少なくなります。
また、元金の据置期間が3カ月あるので、正確な計算はろうきんの窓口で確認するようにしてください。
まとめ
求職者支援資金融資制度は、年率3.00%と低金利で条件は非常にいいです。しかし、金融機関の融資で審査があり、ハローワークの認定も受けないと融資が受けられません。
借入れを希望する方は、この融資制度に申し込むとともに審査にとおらなかったときの対策についても考えておくようにしましょう。