教育一般貸付(読み方:きょういくいっぱんかしつけ)は、国による教育ローンのことです。低金利で据置期間もあるので、比較的、負担が少ないローンという魅力があります。ここでは、教育一般貸付の制度について詳しく解説してますので、ぜひ、確認してみてください。
目次
教育一般貸付における融資対象の学校と使いみちについて
教育一般貸付で融資の対象となる教育施設は、修業年限が6ヶ月以上、かつ中学卒業以上の方が対象となるところです。海外の教育施設については、修業年限が3ヶ月以上あれば融資の対象となります。
教育一般貸付の対象となる主な教育施設
- 大学
- 大学院(法科大学院などを含む)
- 短期大学
- 専門学校
- 高校、高等専門学校
- 特別支援学校(高等部)
- 予備校
- 海外の教育施設(語学学校、高校、大学等)
教育一般貸付の対象とならない例外について
教育一般貸付では、大学の研究生や聴講生などの正規の学籍による在籍を目的としない場合は、融資の対象ではありません。また、学費のかからない防衛大学校や海上保安(大)学校、気象大学校、あるいは、企業内の教育訓練施設なども対象外となります。
融資を受けたお金の使いみちについて
教育一般貸付は、原則、1年以内に必要となる学校の費用が融資の対象となります。入学金や授業料などの学校納付金以外では、次のような費用を目的にお金を借りることができます。
- 学校受験で必要となる費用(受験料、宿泊費、交通費など)
- 一人暮らしに必要となる住居費(敷金、礼金、家賃など)
- 教材にかかる費用(教科書代、パソコン購入費、その他の教材費用)
- 修学旅行の費用
- 通学のための交通費(定期券など)
- 学生の国民年金保険料
教育一般貸付でお金を借りることができる人とは?
教育一般貸付は、対象となる学校に通う方のすべてが融資の対象ではありません。世帯年収の上限額などに条件があります。
教育一般貸付の所得制限について
給与所得者の方が教育一般貸付を利用する場合は、子どもの人数により、次のような世帯の所得制限があります。
子どもの人数 世帯全体の給与所得の上限額
1人 790万円
2人 890万円
3人 990万円
4人 1,090万円
5人 1,190万円
個人事業主の方は、世帯全体の事業所得が次の上限額に満たない場合に融資が認められます。
子どもの人数 世帯全体の事業所得の上限額
1人 590万円
2人 680万円
3人 770万円
4人 870万円
5人 970万円
昨年の年収が上の所得制限を超えている場合でも、今年の年収が下がる見込みのときは、申込みできる場合があります。また、子どもの父母だけでなく、6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族で所得の上限額を超えていない方なら申込みができます。
子どもが2人以内のときの所得制限の緩和について
子どもの人数が1人か2人のときは、次の条件のいずれかに該当しているときに限り、世帯の所得上限額が990万円(事業主は770万円)までに緩和されます。
- 勤続年数が3年未満のとき
- 住居の居住年数が1年未満のとき
- 同一世帯に自宅外通学をしている方がいるとき(予定を含む)
- 申込者か配偶者のどちらかが単身赴任をしているとき
- 海外留学を目的としているとき
- 申込者の「すべての借入金の返済額(年間)÷年収(借入金負担率)」が30%を超えているとき
- 親族に要介護(要支援)に認定された方がいて、費用を負担しているとき
- 大規模災害における被災者
奨学金との併用について
教育一般貸付は、日本学生支援機構の奨学金を受けている方も利用できます。
年収が少ない場合について
教育一般貸付に年収の下限についての制限はありません。無職や極端に収入が少ない場合は、審査にとおらないこともありますが、申込みできないわけではありません。
教育一般貸付の連帯保証人について
教育一般貸付は、連帯保証人が必要となるお金を借りる方法です。連帯保証人を頼める人がいない場合については、公益財団法人の保証機関を利用して申し込むことができます。
教育一般貸付の保証機関とは?
教育一般貸付の保証機関は、「公益財団法人 教育資金融資保証基金」です。昭和53年の設立から、これまで464万件(5兆3,091億円)の教育一般貸付の保証実績があります。
保証機関の費用の目安
保証機関を利用して教育一般貸付を利用する場合は、返済期間と元金の据置期間に応じて、次の割合の保証料がかかります。
返済期間 | 元金据置なし | 元金据置2年 | 元金据置4年 |
---|---|---|---|
5年 | 1.8182% | 2.1818% | 2.5454% |
10年 | 3.5985% | 4.3182% | 5.0379% |
15年 | 5.3991% | 6.4789% | 7.5587% |
ただし、母子(父子)家庭や交通遺児家庭については、上の保証料の3分の1が減額されます。
保証料の支払方法について
保証機関に支払う保証料は、借入れ金額から一括して差し引かれます。たとえば、教育一般貸付で100万円の融資を受ける場合(元金据置2年、返済期間10年)は、4.3182%の保証料が発生し、実際に口座に振り込まれるお金は「956,818円」となります。
教育一般貸付の限度額、金利と返済について
教育一般貸付の限度額について
教育一般貸付の限度額は、子ども1人に対して「350万円」が基本となります。海外留学をする場合に限り「450万円」が限度額になります。また、教育一般貸付の融資は、今後1年以内に発生する費用が対象となってますが、限度額を超えない限りは、追加融資を受けることもできます。
教育一般貸付の金利について
教育一般貸付の金利は、平成31年4月1日現在、年率1.78%の固定金利です(保証料は含みません)。ただし、次の条件を満たす場合は、年率1.38%の優遇金利が適用されます。
- 母子家庭(父子家庭)
- 世帯年収200万円以下(事業所得122万円以下)
- 扶養している子どもが3人以上、かつ世帯年収500万円以下(事業所得346万円以下)
教育一般貸付の返済について
教育一般貸付の返済は、毎月の返済額が一定となる元利均等返済方式です。ボーナス月の増額返済をすることもでき、返済期間は、15年以内を基本としてます。一定の条件を満たしていると、返済期間を18年以内にすることも可能です。
教育一般貸付で300万円借入れしたときの返済シミュレーション
教育一般貸付で300万円を借入れ、15年かけて返済した場合は、次のような返済計画になります(連帯保証人と据置期間なしの場合)。
毎月の返済額 | 19,100円 |
---|---|
返済額の総額 | 3,418,100円 |
保証料 | 161,973円 |
金利+保証料 | 580,073円 |
教育一般貸付の申込みに必要となる書類
教育一般貸付の利用に必要となる書類は、次のようなものがあります。
住民票の写し、または住民票記載事項証明書
世帯全員の記載があるものを用意します。本籍地と個人番号は、黒く塗りつぶすか記載なしで取得します。
本人確認書類
運転免許証かパスポートを用意します。どちらもない場合は、健康保険証と他の書類を合わせて持参することになります。
収入証明書類
源泉徴収票か確定申告書の控えを用意します。連帯保証人をつけるときは、連帯保証人の収入証明書類も必要になります。
預金通帳
住宅ローン(または家賃)と公共料金の支払い状況を確認するために使います。口座振替以外の手段で支払っている場合は、半年以上の支払い状況が分かる書類を用意します。
入学、在学を証明する書類
申込みの目的に応じて、合格通知書や学生証、授業料納付通知書などの提出が求められます。
申込みからお金を借りるまでの流れ
申込みから融資を受けるまでは、約3週間くらいかかります。
1.インターネットから申込み
申込みは、いくら早くても受け付けてもらえます。
2.審査結果の回答
申込みから約10日間で審査結果の回答の連絡があります。
3.契約の手続き
教育一般貸付の契約書類を作成して、郵送などで送ります。
4.お金の振り込み
契約書類に不備がなければ、お金が金融機関の口座に振り込まれます。
まとめ
教育一般貸付は、いつでも申込みが受け付けられてます。お金が必要になる2~3ヶ月前に申し込むように勧められてますので、早めに手続きをしておくと安心です。
また、日本政策金融公庫に返済シミュレーションができるツールがありますので、しっかりと返済計画を考えてから融資を受けるようにしましょう。