生活福祉資金貸付制度(読み方:せいかつふくししきんかしつけせいど)は、所得の低い方や高齢者・障害者の経済的支援を目的に、都道府県の社会福祉協議会が主体となって融資をしている制度です。
貸付資金の種類には、総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4つがあります。
ここでは、生活福祉資金貸付制度を理解するための情報を分かりやすくまとめてますので、お金を借りる前に確認しておくようにしてください。
目次
生活福祉資金貸付制度を利用できる人の条件とは?
この制度でお金を借りられるのは、「低所得者世帯」「障害者世帯」「高齢者世帯」に該当する人です。
低所得者世帯とは?
低所得者世帯は、必要なお金を金融機関などから借入れするのが難しい世帯のことです。具体的には、市町村民税が非課税になる程度が基準となってます。
障害者世帯とは?
障害者世帯は、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けている人がいる世帯です。これらの手帳の交付を受けていなくても、障害者総合支援法に基づくサービスを受けている方は、同程度と認めてもらえることがあります。
高齢者世帯とは?
高齢者世帯は、65歳以上の方が住んでいる世帯です。
貸付資金の種類について
貸付資金の種類には、「総合支援資金」「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保型生活資金」の4つがあります。
総合支援資金とは?
総合支援資金は、目的を限定せずに生活再建や維持に必要なお金を融資するための資金です。
福祉資金とは?
福祉資金は、社会福祉の向上を図るために必要なお金を貸付するための資金です。
教育支援資金とは?
教育支援資金は、低所得世帯に住む方に対して、高校や大学に就学するのに必要なお金を融資するための資金です。
不動産担保型生活資金とは?
不動産担保型生活資金は、高齢者世帯が居住用の不動産を担保にして、生活費を融資するための資金です。
以下に、総合支援資金と福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金について、順番に分かりやすく説明します。
総合支援資金について
総合支援資金は、「生活支援費」と「住宅入居費」、「一時生活再建費」の3つに分かれてます。
生活支援費とは?
生活支援費は、生活再建に必要な費用全般のことを指します。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
単身世帯:月15万円以内 2人以上:月20万円以内 |
最後の貸付日から6ヶ月以内 | 据置期間が過ぎてから10年以内 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年率1.5% |
原則必要 |
貸付期間は、原則として3カ月までとし、最長でも12カ月までとなります。
住宅入居費とは?
住宅入居費は、引っ越しにともなう敷金や礼金、不動産の賃貸契約に必要な費用のことです。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
40万円 | 貸付日から6ヶ月以内 | 据置期間が過ぎてから10年以内 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年率1.5% |
原則必要 |
一時生活再建費とは?
一時生活再建費は、債務整理をするための弁護士費用や滞納している公共料金などの立て替えなどのための費用です。就職や転職のための技術習得に必要なお金も含まれます。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
60万円 | 貸付日から6ヶ月以内 | 据置期間が過ぎてから10年以内 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年率1.5% |
原則必要 |
福祉資金について
福祉資金は、「福祉費」と「緊急小口資金」の2つに分かれます。
福祉費とは?
福祉費は、低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯が社会福祉を維持するためのお金のことで、次のように目的ごとに融資の条件が異なります。
お金を借りる目的 | 限度額の目安 | 償還期間 |
---|---|---|
仕事に必要なお金 | 460万円 | 20年 |
技能習得に必要なお金(期間中の生活維持のために必要なお金を含む) | 6月程度 130万円 1年程度 220万円 2年程度 400万円 3年以内 580万円 技能修得にかかる期間により異なります。 |
8年 |
住宅の増築や改築、リフォームなど。その他、公営住宅の譲り受けにかかるお金。 | 250万円 | 7年 |
福祉用具などの購入費用 | 170万円 | 8年 |
障害者用の自動車を買うのに必要なお金 | 250万円 | 8年 |
中国残留邦人等が国民年金保険料の追納をする際に必要となるお金 | 513.6万円 | 10年 |
ケガや病気の治療に必要なお金(療養期間中の生活に必要なお金を含む) | 療養の期間が 1年未満のとき:170万円 1年超~1年6月以内で、世帯の自立が必要になっているとき:230万円 |
5年 |
介護サービスや障害者向けサービスを受けるのに必要なお金(期間中の生活費を含む) | 介護サービスを受ける期間について 1年未満:170万円 1年超~1年6月以内で、世帯の自立が必要になっているとき:230万円 |
5年 |
災害による臨時経費 | 150万円 | 7年 |
冠婚葬祭に必要なお金 | 50万円 | 3年 |
引っ越しや給排水設備などの設置に必要なお金 | 50万円 | 3年 |
就職や技能習得をする際に必要となるお金 | 50万円 | 3年 |
その他の日常生活で一時的に必要になったお金 | 50万円 | 3年 |
金利については、すべての目的で連帯保証人がある場合は無利子、ない場合は年率1.5%です。保証人についても、原則として必要とされてます。
緊急小口資金とは?
緊急小口資金は、一時的に生活を維持するのが難しくなったときで、緊急を要する場合に融資されるお金です。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
10万円 | 貸付日から2ヶ月以内 | 据置期間が過ぎてから12年以内 | 無利子 | 不要 |
教育支援資金について
教育支援資金には、「教育支援費」と「就学支度費」の2つがあります。
教育支援費とは?
教育支援費は、低所得者世帯の方が高校や大学、高等専門学校に就学するときに必要になる費用のことです。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
高校:月3.5万円 高専:月6万円 短大:月6万円 大学:月6.5万円 |
卒業から6ヶ月 | 据置期間が過ぎてから20年 | 無利子 | 不要(ただし、世帯内で連帯借受人が必要) |
就学支度費とは?
就学支度費は、低所得者世帯の方が高校、大学、あるいは高等専門学校への入学で必要になる費用です。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
50万円 | 卒業から6ヶ月 | 据置期間が過ぎてから20年 | 無利子 | 不要(ただし、世帯内で連帯借受人が必要) |
不動産担保型生活資金について
不動産担保型生活資金は、「不動産担保型生活資金」と「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」の2つからなります。
不動産担保型生活資金とは?
不動産担保型生活資金は、低所得の高齢者世帯に不動産を担保にして生活費を貸し付けるための資金です。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
土地の評価額の70%程度 | 契約終了後3カ月 | 据置期間が終了したとき | 長期プライムレートと年率3.0%のいずれか低い方の金利 | 必要(推定相続人から選びます) |
融資限度額について土地評価の70%までとなってますが、月額30万円を上限に1カ月ごとに融資が行われます。融資を受けているときに限度額に達すると契約終了となり、一括して全額の返済が必要になります。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金とは?
要保護世帯向け不動産担保型生活資金は、保護が必要となっている高齢者世帯に不動産を担保にして融資するための資金です。
貸付限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 金利 | 保証人 |
---|---|---|---|---|
土地の評価額の70%程度 | 契約終了後3カ月 | 据置期間が終了したとき | 長期プライムレートと年率3.0%のいずれか低い方の金利 | 不要 |
限度額は、マンションなどの集合住宅の場合は評価額の50%までです。生活扶助額の1.5倍以内の金額が毎月借りられます。融資を受けている途中に契約終了となる場合に一括返済となるのは、不動産担保型生活資金と同様です。
生活福祉資金貸付制度のメリットとデメリット
生活福祉資金貸付制度のメリットについて
生活福祉資金貸付制度のメリットは、非常に金利が低いことです。緊急小口資金が無利子で借りられるほか、連帯保証人をつければ無利子で借りられる資金が多くなります。また、資金ごとに適切な据置期間と返済期限が設定されていることが多く、利用しやすいのも特長です。
生活福祉資金貸付制度のデメリットについて
不動産担保型生活資金は、不動産を手放すことを前提とした融資制度なので、注意して利用する必要があります。また、毎月借入れする資金を利用すると、想定以上に借入額が多くなることがあるので、あくまでも借金であることは覚えておく必要があります。
生活福祉資金貸付制度のまとめ
生活福祉資金貸付制度を利用する場合は、制度についてしっかりとした知識があるほうが安全に利用できます。住宅地を管轄する社会福祉事務所が窓口となってますので、興味のある方は、窓口でしっかりと説明を受けるようにしましょう。